メンバーインタビュー

「いろんなものに形を合わせて、進化していきたい」コンサル、AIベンチャー役員を経験してきた烏谷さんのキャリアストーリー

データサイエンティスト

烏谷 正彦

NOB DATAで生成AIやデータ活用の講師、セミナーレポートの執筆などを担う烏谷 正彦(からすだに まさひこ)さん。大学時代にデータマイニングと出会いながらも、最初のキャリアはコンサルティングファームでのコスト削減プロジェクトだったといいます。

コンサルティングファーム、AIベンチャー、そしてフリーのデータサイエンティストと、結果的に約10年ごとにキャリアを変えてきた烏谷さんが、どのようにデータ分析の道を歩んできたのか、そしてこれからどのような仕事に取り組もうとしているのか。お話を伺いました。

大学時代にデータ分析の面白さに気づき、コンサルを経てAIベンチャーへ

はじめに、烏谷さんのバックグラウンドについて教えてください。

生まれは大阪府枚方市です。小学校6年生から東京に来ているので、言わない限り関西の人だとはバレないくらいの言葉遣いになってますね。

烏谷という姓は愛媛県に多いらしいんですが、日本に数百世帯ぐらいしかいないレベルで、未だに身内以外の烏谷さんには会ったことがないです(笑)。

プライベートでは、どのように過ごされていますか?

ランニングを週2〜3回。趣味というより、この年齢なので健康維持のレベルですね。自宅から10キロ弱くらいの場所に銭湯があって、そこまで走ってお風呂に入って、そこから仕事に向かうのをルーティンにしています。

あとは、城やお寺、古墳など歴史系の場所を巡るのが好きです。国内は出張のついでに寄って帰ることも多いですね。特に山の中にある山城が好きで、兵庫県の竹田城や島根県にある月山富田城のようなところはワクワクしながら行きました。完全に登山なので、少々疲れはしますけど(笑)。

データ分析に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

大学でビッグデータ、当時は「データマイニング」という言葉で流行っていたものに出会ったのがきっかけです。高校の頃はちょうどパソコンが一般家庭に広がっていった時期で、「パソコンは面白いし、そっち系に行っておけば間違いない」ぐらいの感覚で学部を選んだんです。

でも気がついたら、プログラミングよりもデータを分析することのほうが面白いと感じるようになっていて。2年生の後半から2年半ぐらいは、研究もひたすらそればかりやっていました。

卒業後はコンサルティングファームに進まれたそうですね。

本当はデータ系を仕事にできたらと思っていたんですが、ちょうど最後の就職氷河期ぐらいの世代で、選ぶ余地があまりなかったんです。データの専門職をやりたいと面接で話しても、何も響かない時代でした。

それなら何でもできるコンサルをやろうと。大学を選んだ時とあまり変わらないんですけど、選択肢を狭めないようにコンサルファームに行きました。

当時は2004〜2005年頃で、仕事はコスト削減がメインでした。ERP(基幹業務システム)の導入やBPR(業務プロセスの抜本的な見直し)など、「同じ仕事をいかに少ない人数で効率的にやるか」という仕事ばかりでしたね。通信業界が長かったですが、製造業、小売業、金融など、幅広い業界を経験させていただきました。

そこからAIベンチャーへ転職されたのはなぜですか?

コンサル時代の最後の1〜2年で、データ分析のプロジェクトに就くことができて、学生時代を思い出して「やっぱり面白いな」と。ちょうど2015年頃はAIやビッグデータが流行りだして、その専門職を求めるベンチャーが増えていたので、AI系のベンチャーに転職しました。

コンサルで上を目指すと案件の獲得や拡大といった営業力が求められるんですが、私はプロジェクトを回すのは得意でも、営業はあまり得意ではなくて。コンサルとしてのキャリアにある程度めどがついたタイミングでもありました。

AIベンチャーではどんなお仕事をされていたのでしょうか?

スーパーやドラッグストアなど小売のデータを集めている会社で、7年ほどそのデータの分析をしていました。ただ、分析人材を求めていると聞いて入ったものの、実際は社内で分析できる状況ではなく、外部に全部発注している状態だったんです。そこで内製化して、人を採用して育成して、分析組織づくりからすべてやらせていただきました。

分析自体も、分析をベースにシステムをつくるのも面白かったですし、組織づくりもとても面白かった。本当に何でもやらせてもらったなと思います。

一方で、コンサル時代は看板のおかげで仕事が取れていたんだと痛感しました。ベンチャーだと「そもそも何の会社なの?」から始まるので。

「もっと自分で分析したい」ベンチャー役員からフリーランスへ

その後、フリーのデータサイエンティストになられたんですよね。きっかけは何だったのでしょう?

ベンチャーで役員になったんですが、なってみると自分はあまり役員に向いていないなと気づいたんです。もっと自分で分析したいし、組織のやり方にとらわれすぎずにやるほうが面白いかもしれない、と。

ちょうど40歳を過ぎた頃で、結果論ですが最初の10年がコンサル、次の10年がベンチャーと、キャリアが10年ごとに変わっていたので、次の10年は一人でやろうかなと。10年持つか分からないですけど(笑)。

現在はどのようなお仕事をされていますか?

NOB DATAを含めて、大きくは3〜4社と仕事をしています。メインのクライアントが1社あって、それ以外に週1〜2日ぐらいで動いているところがあります。

データ分析のほかに、ベンチャー時代の人材育成で「教えるのも面白い」と感じたので、AIや生成AI、データ系の講師もやっています。企業向けの研修もあれば、プログラミングスクールでAIのためのPythonを教えるような個人向けの講師もしていて、フリーランスになってすぐの頃から続けています。

NOB DATAではプロジェクトに参画させていただくこともありますし、あとはセミナーレポートの仕事が多いですね。進化のスピードが速いなかで、いま世の中がどうなっているのかをきちんと届けられたらと思いながらやっていますし、自分自身の学びにもなっています。

フリーで活動されるようになって、意識は変わりましたか?

良くも悪くも、時間のコントロールを完全に自分でやらないといけなくなりました。最近は「これをやるなら、あとは自分のコントロールの中でやってください」という案件が多いので、いかに効率化するか、仕事に穴を空けないか。自分でコントロールしている部分がすごく多いなと思います。

データ分析の面白さは「現実世界とのリンク」にある

今のお仕事の魅力ややりがいはどこにありますか?

データ分析というと、データだけを見て何かを判断するイメージが強いと思うんです。でも今の仕事では、スーパーなどの小売や飲食店の社員の方と話しながら、現場の業務とデータをつなげて施策を進めていけるんですね。

「データのこの結果は、現場のここにつながっているんだ」とか、逆に「この店舗のレイアウトは、データではこんなふうに影響しているんだ」とか、そういうものが見えてくるのがすごく面白い。いわゆる現実世界とのリンクの部分ですね。

小売はデータ分析に向いている業種なのでしょうか?

分かりやすいとは思います。ただ、私が大学生だった2000年代前半には小売のデータ分析はすでに行われていて、ある意味され尽くした感じが強く、手法もかなり古典的なものが多いんです。

それでも、組み合わせればもっと面白いことが分かったり、昔からやっているからこそ「このデータとこの業務は連携しているよね」という気づきが多かったりする。そういう意味で面白いと思います。

今のやり方に行き詰まりを感じる方に、データ分析という武器を持ってもらいたい

今後、どんな仕事に関わっていきたいと思っていますか?

今後、分析はほぼ生成AIに置き換わっていくと思っています。ただ悲観的ではなくて、うまく使ってやろうという立場です。今やっていて面白いことを、生成AIを使ってもっといろいろなところ、いろいろなお客さんに広げられたらと思っています。

小売や飲食に限らず、生成AIを介しながらデータ分析を広げる役割を担えたら面白いですし、研修もセットでできると思うんです。自分でも分析しつつ研修もして、将来的には私なしで現場の人たちが動かせるようになって、「いい感じに組織が回っているね」となる。そんな役割になれるといいなと思います。

ITに強い人や専門部署でなくても、データ分析はできるようになるのでしょうか?

そうしたい、というのがよく思うところです。企業では「ITに強い人が今後そっち系もやる予定です」ということが多いんですが、それだと人材も限られますし、そういう人は現場の仕事で忙しかったり、現場のことをあまり知らなかったりもする。

だからこそ、現場で仕事をしていて、今のやり方に行き詰まりを感じている方に、データ分析という武器を持ってもらえるといいなと思っています。

私自身、プログラミングはそんなに得意ではないんですが、最近はやったことのないスマホアプリの開発も生成AI任せでやってみたりしていて。やったことのない私がアプリを開発できるなら、データ分析をやったことのない人も、やる気さえあればできるよね、と。ただ、やることに意味やメリットがあると思っていただけないと、できるできない以前にやらないと思うので、その意味合いも知っていただきながら進めていけたらと思います。

これからのご自身のキャリアについては、どう考えていますか?

運良く、自分が面白いと思った方向と世の中の流れが合っていただけなので、今後もそうなるかは分かりません(笑)。ただ、「これしかできない」という人にはなれないし、なりたくもないので、いろんなものに形を合わせて進化していけるといいなと思っています。

データサイエンティスト

烏谷 正彦からすだに まさひこ

AI系のスタートアップ企業で、データサイエンティストとしてビッグデータを用いたアナリティクスを提供。現在は、生成AIのソリューションや教育を提供するフリーランスとして活動。最近の趣味は、銭湯に向けてランニングをすること。NOB DATAでは、生成AIまわりのリサーチや情報発信を担当。