レポート
2025.07.18(金) 公開
資料化と合意形成の“壁打ち”にもAIを
もうひとつ、AIが大きな効果を発揮するのが「資料作成の設計段階」です。
多くの事業開発者が悩むのは、「事業の魅力は感じているが、うまく伝えられない」「ピッチ資料が構造的でない」といった点です。ここでも、AIに対して「この事業案を、投資家向けに3〜5枚で構成してください」「PoCの結果から導ける事業の強みを冒頭に整理して」といった依頼を投げると、ストーリー構成のたたき台が即座に提示されます。
特に有効だったのは、「この資料で最も訴求すべきポイントを3つ挙げ、それに基づいた資料構成を提案して」と指示したケースです。AIは、PoCの定量成果、競合優位性、財務モデルの健全性といった項目を抽出し、それぞれに適したスライド構成と見せ方まで提案してくれました。
入力プロンプト

【ChatGPT回答例】
【訴求すべきポイント(3点)】
-
PoCによって実証された顧客ニーズの強さと数値成果
→導入前後でのKPI改善、定量的インパクトを示すことで説得力を高めます。 -
既存ソリューションとの明確な差別化ポイント
→競合比較を通じて、プロダクトの独自性と市場優位性を強調します。 -
スケーラブルかつ健全なビジネスモデル
→今後の展開シナリオと財務計画を提示し、成長可能性と収益性を明示します。
【それに基づく資料構成案】
-
1枚目:事業の全体像と顧客課題の再定義
市場の現状と解決すべきペインを端的に提示し、読者の関心を引く。 -
2枚目:PoC結果と定量的成果のハイライト
「数値で語る」ことで、再現性と顧客需要の実在性を示す。 -
3枚目:競合比較によるプロダクト優位性の可視化
表形式やグラフで直感的に理解できる差別化要素を展開。 -
4枚目:事業の成長シナリオと収益モデル
今後3年の成長見通し、LTV/CAC、収益分岐点などの試算を提示。 -
5枚目:チームと実行体制、次アクションへの期待
実現可能性と信頼性を担保しつつ、投資家への問いかけを明確に。
こうした“壁打ち”のような活用を通じて、アイデアを言語化し、数字を構造化し、意思決定の土台を整える──それが今のAIの得意領域です。
この記事の著者

シニアコンサルタント
福山 秀仁
20年以上にわたり、国内外の企業や自治体に対し、新規事業開発、マーケティング、組織開発、プロジェクトマネジメント支援を提供。AI・データ活用からUXデザイン、ブランド戦略、地域創生まで多様な分野に精通し、構想力と実行力を併せ持つ。NOB DATAでは、戦略設計と実装の両面からAIプロジェクトの推進を担当。
「ChatGPT導入・活用支援」はNOB DATAにご相談ください
ChatGPTの導入・活用に課題を感じていませんか?
NOB DATAでは、ChatGPT開発およびデータ分析・AI開発のプロフェッショナルが、多種多様な業界・課題解決に取り組んだ実績を踏まえ、ChatGPTの導入・活用を支援しています。社員向けのChatGPT研修も実施しており、お気軽にお問い合わせください。