レポート
2025.02.28(金) 公開
【最新情報】
ChatGPT o3 mini、o3 mini highを徹底解説!
性能・価格・使い方を比較

目次
1. ChatGPT o3 mini、o3 mini highとは?
OpenAIは、2025年1月31日にChatGPTの最新モデルである「o3 mini」と「o3 mini high」をリリースしました。これらのモデルは、従来のo1-miniの後継であり、特にコーディング、数学、科学などの分野に特化した推論能力を備えています。o3 miniは、処理速度、精度、コスト効率のバランスに優れており、幅広いユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。
1.1 o3 miniの概要
o3 miniは、OpenAIのoシリーズの中で最もコスト効率の高い推論モデルです。従来のo1-miniと比較して、応答速度が24%高速化し、レイテンシも低くなっています。また、APIの利用料金も o1-miniより63%、o1と比べて93%も低く設定されています。これにより、より多くのユーザーが高度な推論能力を低コストで利用できるようになりました。
o3 miniは、ChatGPTの無料プランでも利用可能です。メッセージ作成画面で「Reason」を選択するか、応答を再生成することで、o3 miniを試すことができます。これは、ChatGPTの無料プランで推論モデルが利用可能になった初めてのケースです。さらに、o3 miniはウェブ検索にも対応しており、最新の情報へのアクセスと引用元へのリンク提供が可能になりました。
o3 miniには、推論のレベルを調整する機能が搭載されています。ユーザーは、低、中、高の3つのレベルから選択することができます。低いレベルでは、より速く応答が生成されますが、精度は低くなります。逆に、高いレベルでは、より深く思考した結果が得られますが、応答に時間がかかります。
開発者にとって嬉しい機能強化として、関数呼び出しや構造化出力など、APIを介したo3 miniの利用がより便利になりました。
1.2 o3 mini highの概要
o3 mini highは、o3 miniの処理能力を高めた上位モデルです。より高度な推論能力を必要とするタスクに適しており、ChatGPT Plus、Team、Proのユーザーがモデルピッカーから選択して利用できます。Proユーザーは無制限にアクセスできますが、PlusとTeamのユーザーは、o1-miniと比較して3倍のレート制限(1日あたり150メッセージ)となります。o3 mini highは、より高度な推論能力を提供しますが、応答の生成に時間がかかるという特徴があります。
2. o3 mini、o3 mini highの性能
o3 miniとo3 mini highは、従来モデルと比較して、様々な面で性能が向上しています。以下に、具体的な性能を紹介します。
2.1 処理速度
o3 miniは、1秒あたり184トークンという圧倒的な処理速度を誇ります。これは、実験段階のGemini 2.0 Flash(168トークン)を上回り、主要モデルの中では最速です。DeepSeek R1の1秒あたり19トークンと比較すると、その差は歴然です。また、o3 miniはo1-miniよりも24%高速な応答速度を実現し、レイテンシも低いため、より迅速に回答が得られます。
2.2 推論能力
o3 miniは、内部に思考連鎖プロセスを組み込んでおり、問題を中間的な推論ステップに分解することで、より深く思考し、正確な回答を導き出すことができます。
o3 mini highは、推論モードを「High」に設定することで、LiveBench Codingの総合的な正答率で74.5%を記録しました。これは、o1のHigh設定(76.5%)に迫る高水準であり、DeepSeek R1(68.4%)を上回っています。特に初級レベルのタスクでは、99.1%という驚異的な正答率を達成しています。
2.3 応答精度
OpenAIの評価によると、o3 miniはo1-miniよりも正確で明確な回答を生成し、より強力な推論能力を持つことが示されました。テスターは、56%の確率でo3 miniの回答を好み、難しい実世界の質問に対する主要なエラーが39%減少したと報告しています。
2.4 対応言語
o3 miniは多言語に対応しており、日本語を含む様々な言語で利用できます。
2.5 コーディング能力
o3 miniは、コーディング能力にも優れており、Codeforcesなどの競技プログラミングのベンチマークで高いスコアを記録しています。推論モードを高く設定することで、o1-miniやo1を凌駕するパフォーマンスを発揮します。また、SWE-bench Verifiedベンチマークでは、49.3%の精度を達成し、o1モデル(約48.9%)をわずかに上回っています。
3. o3 mini、o3 mini highの価格
o3 miniのAPI利用料金は、入力100万トークンあたり1.1ドル、出力100万トークンあたり4.4ドルです。キャッシュされた入力の場合は、100万トークンあたり0.55ドルとなります。バッチAPIを利用すると、入力と出力の料金がそれぞれ50%割引になります。つまり、バッチAPIを使用した場合、入力100万トークンあたり0.55ドル、出力100万トークンあたり2.2ドルとなります。ChatGPT Plus、Team、Proのユーザーは、o3 miniを無制限に利用できます。
4. o3 mini、o3 mini highの使い方
4.1 ChatGPTでの利用方法
ChatGPTでo3 miniを利用するには、以下の手順に従います。
- ChatGPTのWebサイトまたはアプリを開きます。
- モデルピッカーで「o3 mini」または「o3 mini high」を選択します。
- プロンプトを入力して、応答を生成します。
無料ユーザーは、「Reason」を選択するか、応答を再生成することでo3 miniを試すことができます。これは、ChatGPTの無料ユーザーが推論モデルを利用できる初めての機会であり、高度なAI機能へのアクセスがより容易になりました。有料プランのユーザーは、モデルピッカーからo3 mini highを選択することもできます。
4.2 APIでの利用方法
o3 miniは、Chat Completions API、Assistants API、Batch APIで利用できます。開発者は、これらのAPIを使用して、o3 miniをアプリケーションに統合し、コーディングや科学的なタスクに活用できます。API usage tiers 3-5の開発者向けに展開が開始されています。
5. 従来モデルとの比較
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表1. 従来モデルとの比較5.1 性能面での進化
o3 miniは、従来のo1-miniと比較して、処理速度、応答精度、推論能力が向上しています。特に、コーディング、数学、科学などの分野で優れた性能を発揮します。中程度の推論 effort で、数学、コーディング、科学においてo1と同等の性能を達成しています。また、o3 mini highは、推論モードを高く設定することで、o1を凌駕する性能も示しています。
5.2 価格面での違い
o3 miniは、o1-miniよりもAPIの利用料金が大幅に低くなっています。o1と比べると93%のコスト削減を実現しています。これにより、より多くのユーザーが高度な推論能力を低コストで利用できるようになりました。
6. o3 mini、o3 mini highのメリット・デメリット
Operatorの性能は、OpenAIによってベンチマークテストが行われています。ベンチマークテストでは、OSWorld、WebArena、WebVoyagerの3つのタスクが使用されました。
6.1 メリット
- 高速な処理速度
o3 miniは、主要モデルの中で最速の処理速度を誇ります。
- 高い推論能力
コーディング、数学、科学などの分野に特化した推論能力を備えています。
- 低いAPI利用料金
o1-miniやo1と比べて、APIの利用料金が大幅に安くなっています。
- ChatGPT無料プランでの利用
ChatGPTの無料プランでもo3 miniを利用できます。
- APIでの利用
APIを通じて、様々なアプリケーションに統合できます。
6.2 デメリット
- 画像入力の非対応
o3 miniは、画像入力に対応していません。画像認識や画像処理が必要な場合は、o1を利用する必要があります。
- 高度な推論にはo3 mini highが必要
より高度な推論能力を必要とする場合は、o3 mini highを利用する必要があります。
7. 安全性
OpenAIは、o3-miniの安全性についても評価を行っています。jailbreak と許可されていないコンテンツの評価を通じて、o3-miniがGPT-4oを大幅に上回ることが確認されました。
8. まとめ
ChatGPTの最新モデルo3 miniとo3 mini highは、従来モデルと比較して、処理速度、推論能力、コスト効率が向上しており、幅広いユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。特に、コーディング、数学、科学などの分野で優れた性能を発揮します。ベンチマークによると、o3-mini-highはコーディング、数学、科学的推論においてo1を凌駕し、o3-miniはo1と比較して大幅な速度向上を実現しています。
o3 miniは無料ユーザーでも利用可能になったことで、高度なAI機能へのアクセスがより容易になりました。小規模なモデルでありながら、精度と効率のバランスがとれている点も特筆すべき点です。APIを通じて様々なアプリケーションに統合できるため、今後のAI技術の発展に大きく貢献することが期待されます。
9. 参考文献
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