レポート
2024.08.06(火) 公開
ビジネスマンとして知っておきたい ChatGPT-4o(オムニ)についての基礎知識
ChatGPT-4o(オムニ)は、生成AI技術の進化を象徴する存在です。本記事は、当社代表が2023年6月24日に講演した「ビジネスマンとして知っておきたいChatGPT-4o(オムニ)についての基礎知識」というセミナーの内容をもとに、ChatGPT-4oの特徴やその社会的影響について詳しく解説します。生成AIビギナーの方々に向けて、わかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。
1. 生成AIについて
生成AIは、ビジネスの現場でもますます重要になっている技術です。ここでは、生成AIの種類や特徴、現在の技術の状況や今後の進化、そして主要な企業の取り組みについて、わかりやすく解説します。
1.1. 生成AIの種類と特徴、利用環境
生成AIにはいくつかの種類があります。代表的なものとして、以下の5つが挙げられます。
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言語生成系AI : テキストデータをもとに自然な文章を生成するAI。(例:ChatGPT)
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画像生成系AI : テキストから画像を生成するAI。(例:Stable Diffusion、Midjourney)
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動画生成系AI : テキストや他のデータから動画を生成するAI。(例:OpenAI Sora、Luma.AI)
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音楽生成系AI : メロディや楽曲を生成するAI。(例:Suno.AI)
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音声生成系AI : 自然な音声対話を生成するAI。(例:ChatGPT-4o)
これらの生成AIは、高性能なGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を搭載したPCやサーバを利用する必要があるため、主にクラウドサービスとして提供されています。また、OpenAI APIやMicrosoft AzureのAPIを利用することで、さまざまなアプリケーションに組み込むことが可能です。
1.2. 生成AIの現在地と今後の進化
生成AIは従来の特化型AIと比べ、汎用性が高いことが特徴です。特化型AIは特定のタスクに対して高い精度を持つ一方で、構築には多大なコストと時間がかかります。一方、生成AIは一つのモデルで幅広いタスクに対応できるため、コスト効率が高く、より多くの場面で利用されています。
しかし、現時点での生成AIにはいくつかの課題があります。例えば、「ハルシネーション」と呼ばれる事実と異なる情報を生成する問題や、出力が不安定である点などが挙げられます。これらの課題を克服するために、「プロンプティング」が重要です。プロンプティングとは、生成AIに対してどのような入力を与えるかを工夫する方法のことで、回答精度に大きく影響するため重要性が高いとされています。
将来的には、生成AIがさらに進化し、汎用人工知能(AGI)や人工超知能(ASI)の実現が期待されています。汎用人工知能(AGI)とは、人間のように広範囲な知識を持ち、さまざまなタスクをこなせるAIのことです。現在の生成AIは特定のタスクに特化していますが、AGIはもっと幅広い能力を持ちます。人工超知能(ASI)とは、人間の知能をはるかに超える能力を持つAIのことです。これが実現すれば、より高度で汎用的なAIが登場し、様々な分野での活用が進むでしょう。
AGI実現に向けて注目されるのは、ソフトバンク社の動きです。現時点で実現性は不透明ですが、実現した際のインパクトは非常に大きいと期待しています。
1.3. 主要企業の大規模言語モデル
生成AIの分野では、いくつかの主要企業がリーダーシップを発揮しています。代表的な企業として、OpenAI、Google、Microsoft、中国企業などが挙げられます。
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・OpenAI : ChatGPTを開発したOpenAIは、この分野のリーダー的存在です。ChatGPT Plusを契約することで、最新の生成AI技術を利用することができます。
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・Google : Googleも大規模言語モデルの開発に力を入れており、将来的には強力な競争相手となる可能性があります。
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・Microsoft : MicrosoftはOpenAIと提携し、Azureを通じて生成AIサービスを提供しています。
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・中国企業 : 中国の企業も大規模なデータを活用して生成AIの開発を進めており、将来的に大きな影響力を持つことが予想されます。
これらの企業が提供する生成AI技術を理解し、活用することで、ビジネスの現場での競争力を高めることができるでしょう。
2. ChatGPT-4o (オムニ)とは
ChatGPT-4o(オムニ)は、OpenAI社が開発した最新の言語生成AIの一つです。従来のChatGPTシリーズに比べ、さらなる進化を遂げています。この章では、ChatGPT-4oに焦点をあて、基本的な概要や、その特徴であるマルチモーダル対応、そして具体的に何が進化したのか、従来バージョンとの違いについて詳しく解説します。
2.1. ChatGPT-4o(オムニ)とは
ChatGPT-4o(オムニ)は、OpenAI社が発表した最新の言語生成AIです。2024年5月にリリースされ、より自然な対話が可能となっています。このAIは、テキストだけでなく音声や画像といった複数のモーダル(モード)に対応しており、そのため「オムニ(全ての)」という名前が付けられています。
ChatGPTシリーズは、ChatGPT-3.5、ChatGPT-4、ChatGPT-4Vと進化してきました。ChatGPT-3.5は2022年11月に初めて一般公開され、基本的な対話能力を持っていました。次に、ChatGPT-4が2023年3月にリリースされ、より高い知能を持つようになりました。さらに、ChatGPT-4Vは2023年11月に画像解析機能が追加されました。そして、ChatGPT-4oは、これまでの全ての機能を統合し、さらに音声対話の自然さを向上させました。
特にChatGPT-4oの登場により、ユーザーはより自然でスムーズな対話を楽しむことができるようになりました。このAIは、教育、ビジネス、医療などの様々な分野での活用が期待されています。例えば、教育分野では対話型の学習アシスタントとして、ビジネス分野ではカスタマーサポートの自動化に役立てられる可能性があります。詳細はChatGPT部のノート記事も参照してください。
2.2. マルチモーダル対応
ChatGPT-4oの最大の特徴の一つがマルチモーダル対応です。マルチモーダルとは、テキスト、音声、画像など、複数の形式のデータを理解し、生成する能力を指します。これにより、ユーザーは様々な入力方法でAIと対話することができ、AIもそれに応じた出力を生成します。
例えば、ユーザーが画像をアップロードし、その画像について質問すると、ChatGPT-4oは画像を解析し、適切な回答を生成することができます。また、音声入力に対してもリアルタイムで応答することができるため、会話の流れがスムーズになります。従来のテキストベースのAIと比べ、ユーザー体験が大幅に向上しています。詳しくは、OpenAIの公式 紹介動画 をご覧ください。
2.3. ChatGPT-4o(オムニ)は何が違うのか
ChatGPT-4o(オムニ)は、従来のChatGPTシリーズと比べていくつかの点で優れています。まず、音声対話の自然さが大きく向上しています。従来のモデルでは、音声入力に対する応答にタイムラグがありましたが、ChatGPT-4oではほとんどリアルタイムでの応答が可能です。これにより、会話がよりスムーズに進行します。
例えば、OpenAIの公式 紹介動画では、ChatGPT-4oが音声対話のデモンストレーションを行う場面があります。以下のスナップショットをご覧ください。
このシーンでは、ユーザーが音声入力を行い、それに対してChatGPT-4oがリアルタイムで応答している様子が確認できます。このように、ChatGPT-4oは従来のモデルに比べてタイムラグがほとんどなく、より自然な対話が可能です。
また、ChatGPT-4oは、より高度なプロンプティング技術を活用しています。これにより、ユーザーが意図する具体的な情報を引き出しやすくなり、精度の高い回答を得ることができます。プロンプティング技術とは、AIに対する質問や指示を効果的に構築する技術のことで、ユーザーが質問をする際に、AIが文脈を理解しやすくするためのキーワードやフレーズを使ったり、具体的な例を挙げて質問したりします。これにより、AIはユーザーの意図をより正確に把握し、的確な回答を提供できるようになります。例えば、「昨日のニュースを教えて」と質問する代わりに、「昨日のスポーツニュースで何が話題になったか教えて」と質問すると、より具体的な情報を引き出すことができます。
さらに、ChatGPT-4oは、従来のモデルよりも大規模なデータセットを用いて学習しているため、より幅広い知識と高い理解力を持っています。
最後に、ChatGPT-4oはセキュリティとプライバシー保護の面でも改善されています。ユーザーのデータを保護するための新しいアルゴリズムが導入されており、より安全に使用することができます。
以上のように、ChatGPT-4o(オムニ)は、マルチモーダル対応による高い汎用性と、自然な対話能力の向上により、従来のAIとは一線を画す存在となっています。この新しいAI技術を活用することで、様々な分野でのイノベーションが期待されています。
3. オムニの登場で想定される社会的な影響
ChatGPT-4o(オムニ)の登場は、社会に多大な影響を与えると考えられます。この章では、教育業界、言語学習と通訳、PCやスマートフォンへの組み込み、企業内活用、中長期的な影響について詳しく解説します。
3.1. 教育業界への影響
ChatGPT-4oは教育業界に大きな変革をもたらすと予想されています。AIを活用した対話型の学習アシスタントは、学生一人ひとりに合わせたカスタマイズされた学習体験を提供することができます。例えば、複雑な数学の問題を解くためのステップバイステップの説明や、歴史の出来事に関する深堀りした質問への回答などが可能です。
また、教師の負担軽減にも寄与するでしょう。AIが宿題の採点や学生からの質問対応を行うことで、教師はより創造的で付加価値の高い教育活動に専念することができます。
例えば、OpenAI社のデモ動画では、ChatGPT-4oが人間の家庭教師が生徒に接するように、対話の中で生徒がどこまで理解しているかを確認しながら学習サポートする様子が実演されています。以下のリンクからご覧ください。
実際、ChatGPT-4oの発表は教育業界に大きな影響を与えました。ChatGPT-4o(オムニ)の発表により教育関係の株価が下落しています。教育系サービスのCheggのCEOによる発言なども影響していますが、同業界へのインパクトは非常に強いものと考えて間違いなさそうです。
3.2. 言語学習と通訳への影響
ChatGPT-4oのマルチモーダル対応により、言語学習や通訳の分野でも大きな進展が見込まれます。例えば、複数の言語を同時に処理できるため、リアルタイム通訳の精度が向上し、国際会議やビジネスの現場でのコミュニケーションがスムーズになります。これにより、異なる言語を話す人々がより簡単にコミュニケーションを取ることができ、グローバルな協力が進むでしょう。
また、観光地や公共の場での多言語案内が改善され、旅行者や外国人居住者にとっても利便性が向上します。これにより、多様な文化や言語を持つ人々が共存しやすい社会が実現する可能性があります。
3.3. PCやスマートフォンへの組み込みによる変化
ChatGPT-4oは、PCやスマートフォンへの組み込みにより、日常生活やビジネスにおいて多くの利便性を提供します。例えば、カレンダーアプリに統合されることで、予定の管理や調整がより簡単になります。また、メールアプリに組み込まれることで、受信メールの自動返信や、重要なメールの優先順位付けが可能となります。
生成AIをデバイスに組み込む効果として注目されるのは、「パーソナライズされた生成AIの活用」が可能となることです。これにより、ユーザーは個々のニーズに合わせた情報やサービスを受けることができます。例えば、次のようなシチュエーションが想定されます。
ユーザーが「Hey Siri!今から弟の家に行こうと思うんだけど何時に着く?」と質問するとします。新しいApple Intelligenceに対応したSiriは、“今”が現在時刻を示していること、“弟”が誰であるか、現在位置がどこであるかを理解し、的確に回答します。その際に、電車の遅延情報がウェブ上にあれば、そのことも忠告し、重複しているスケジュールがカレンダーにあれば、それについてもアドバイスを提供します。
【出典:Yahooニュース】
このように、パーソナライズされた生成AIは、ユーザーの過去の行動パターンを学習し、最適な提案を行うことで、日常生活やビジネスシーンでの利便性を大幅に向上させます。
3.4. 企業内活用
企業内におけるChatGPT-4oの活用も多岐にわたります。特に、日本語でのやりとりがGPT-4oになると実用上充分なレベルに達するため、カスタマーサポートにおいて顧客からの問い合わせに対して迅速かつ的確に対応することが可能です。また、社内のデータベースと連携することで、社員が必要な情報を即座に取得できるようになります。
さらに、企業内の研修プログラムにおいても、AIを活用したトレーニングやシミュレーションが提供され、社員のスキルアップをサポートします。GPT-4oが回数制限あるものの一般に無料提供されることで、新規事業や企業研修などのニーズが広がることが期待されます。
3.5. 中長期的な影響
中長期的には、ChatGPT-4oの技術がさらに進化し、より広範な社会的影響をもたらすことが予想されます。例えば、ロボティクスとの連携により、家庭内での家事支援や介護サービスの提供が実現するかもしれません。また、医療分野では、患者の症状をリアルタイムでモニタリングし、適切なアドバイスを提供することが可能になります。
先に述べたロボティクスとの連携は、中長期的に注目されるテーマです。例えば、家庭用ロボットが、目の代わりとなり、「どのように動作すれば良いか」を考えることで、より汎用的なロボットが登場する可能性があります。それ以外の分野でも、ChatGPT-4oは多岐にわたる活用が期待されます。社会全体に大きな影響を及ぼすことでしょう。
また、AGI(汎用人工知能)やASI(人工超知能)の開発の進展で、新たな次元へと進化を遂げる可能性も期待できます。ただし、これを実現させるには、圧倒的な量の学習データが必要です。現在のWeb上の学習データだけでは限界があると言われているため、OpenAIやその他生成AI各社は「音声や画像・動画の学習データ」についても需要が増すものと想定されます。
4. まとめ
ChatGPT-4o(オムニ)の登場は、生成AI技術の進化を象徴しており、私たちの仕事や生活に大きな変化をもたらす可能性があります。教育現場では、AIが学生一人ひとりに合わせた学習サポートを提供し、教師の負担を軽減します。言語学習と通訳の分野では、リアルタイム通訳の精度が向上し、国際的なコミュニケーションがさらに円滑になります。
また、PCやスマートフォンに組み込まれた生成AIは、ユーザーのニーズに合わせた情報提供で生活をより便利にしてくれます。企業内では、カスタマーサポートの効率化や社員研修の質向上に役立ちます。さらに、中長期的にはAGIやASIの進化により、家庭用ロボットや医療分野での新たな活用が期待されています。
生成AIビギナーの皆さんも、この技術の進化を注視し、日常業務や生活の中でどのように活用できるかを考えてみましょう。ChatGPT-4oを活用することで、業務効率を高め、新しい価値を創造するチャンスが広がります。
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