レポート
2024.10.30(水) 公開
Japan DX Week 秋2024 参加レポート
今回は、RX Japan株式会社が主催する「Japan DX Week 秋2024」に参加してきました。当イベントは、東京・大阪・名古屋で 年4回開催される日本最大級のDX総合展です。
社内業務DX、AI・業務自動化など、4つのテーマに分かれて様々な企業が自社製品の紹介を行っています。
また、同会場では「Japan IT Week」、「営業・デジタルマーケティング Week」、「EC・店舗 Week」という展示会も同時開催していました。
今回は私が見た展示の中で、「Japan DX Week」を中心に、同じAI・DXで関連する「営業・デジタルマーケティング Week」の営業DX EXPOの内容も交えつつ、興味深かったテーマについて、紹介いたします。
1. 注目のテーマと事業内容
今回の展示会では、デジタル技術を活用し、企業のビジネスプロセスに付加価値を与えるSaaS型サービスが多く取り上げられました。特に以下の3つの分野が目立ちました。
1. 人材管理ソフトウェア
人材管理の分野では、AIを活用して従来の人事業務の効率化を図るソリューションが提案されていました。
例えば、人材データの自動整備や社内ワークフローの構築をサポートする機能に加え、AIによるより高度な人材分析や予測が可能となり、企業全体の生産性向上を促進するといった内容の訴求がされていました。
2. 契約管理ソフトウェア
契約管理の分野では、AIを使って契約プロセスを効率化するソリューションが目立ちました。契約書作成から承認プロセスまでを自動化し、リスク低減やコンプライアンスを強化することで、企業の法務業務を大幅に効率化しています。
AIによるデータの活用により、契約の不備やリスクの検出が迅速に行われ、信頼性が高まるという訴求もされていました。
3. 営業のデジタルトランスフォーメーション(DX)
営業活動におけるDXも大きなテーマでした。
従来のSFA(営業支援ツール)は、顧客データの管理や面会情報の記録にとどまっていましたが、現在のAIを活用した新しい営業支援ソリューションでは、商圏データの分析や予測により、売上向上に直結する戦略的な営業支援が可能になっています。
AIが顧客の動向を分析し、営業チームに対して具体的なアクションを提案することで、より効果的な営業活動が展開できるようになるという訴求がされていました。
上記のDXのテーマに加え、AIを活用した議事録作成や電話応対支援も多くの企業がアピールしていました。
AIが会議内容を自動的に整理し、議事録として提供するだけでなく、電話応対の内容をリアルタイムで分析・記録し、顧客対応の質を向上させる機能が導入されています。こうした技術により、日常業務の負荷が大幅に軽減され、業務効率が向上することが訴求されていました。
2. 学びと気づき
今回の展示会では、テーマの通りAIやデータドリブン経営が多くの分野で活用されていることが確認できました。特に、業務の効率化や自動化だけでなく、AIが企業の意思決定や戦略立案にも深く関わっている点が印象的でした。
人材管理や契約管理といった分野でも、AIの活用により従来のプロセスが大幅に改善されていることが明らかになりました。
営業分野においても、従来のツールでは得られなかった深い洞察がAIによって提供され、より効果的な営業活動が可能になっていることが特徴的でした。また、AIによる議事録作成や電話応対支援は、単なる業務効率化のツールにとどまらず、企業の情報管理の精度向上にも貢献していることがわかりました。
3. 今後の展望
展示会全体を通して感じたのは、多くの企業が自社ソフトウェアにAIを用いた機能を盛り込んでいる一方で、あくまでその機能付加のレベルに留まっている点でした。
これは現状として重要なステップであり、業務効率化やリスク軽減に寄与していますが、ITやSaaS業界でトップを走るソフトウェアは、他社が模倣できないユニークセールスポイント(USP)を持っていることが成功の鍵です。
今後は、AIを活用したソリューションの開発において、単なる機能追加に留まらず、AIならではの新しい価値を提供するソリューションが求められる段階に入るでしょう。
具体的には、AIがデータを分析し、予測するだけでなく、企業の意思決定プロセスや業務フローそのものを変革することが期待されます。
特にデジタルマーケティング(DM)の業務効率化の観点から、AIがどのように新しいソリューションを提供できるかが今後の焦点となるでしょう。顧客行動の予測やパーソナライズされた体験の提供において、AIの力がさらに発揮されることで、業務効率の大幅な向上と企業競争力の強化が図られると考えられます。
このレポートでは、ジャパン DX Week 秋2024で得られた学びや気づきをもとに、AIやデータ活用の現状と今後の展望について考察しました。今後、企業がどのようにAIを活用して新しい価値を提供し、さらなるDXを推進していくかが注目されるテーマとなるでしょう。
この記事の著者
データサイエンティスト
烏谷 正彦
AI系のスタートアップ企業で、データサイエンティストとしてビッグデータを用いたアナリティクスを提供。現在は、生成AIのソリューションや教育を提供するフリーランスとして活動。最近の趣味は、銭湯に向けてランニングをすること。NOB DATAでは、生成AIまわりのリサーチや情報発信を担当。
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