レポート
2024.12.19(木) 公開
将来の売上を予測する〜売上予測分析〜
1. 概要
売上予測とは、過去の売上データを基に将来の売上を予測する手法です。これにより、企業は需要の変動に備え、在庫管理や人員配置、マーケティング戦略の最適化を図ることができます。
売上データのように、時間の経過に沿って観測されたデータを「時系列データ」と言います。時系列分析する際には、観測された「順序」が重要となってくるため、他のデータとは異なる扱いが必要となってきます。
時系列データの予測には、ARIMAや移動平均などの統計モデルや機械学習アルゴリズムが利用され、短期的なトレンドや季節性の影響を考慮した精度の高い予測が可能です。この記事では、ChatGPTのAdvanced Data Analysis機能を用いて売上予測の具体的な方法と、それを基にしたビジネス戦略の立案について解説します。
2. 具体的な例
売上予測を行う手順は、以下の通りです。まず、過去の売上データを収集し、データの前処理を行います。この段階では、「欠損値の補完」や「異常値の除去」、必要に応じて「季節性やトレンドの要素の抽出」を行います。次に、データに基づいて適切な予測モデルを選定します。ARIMAや移動平均モデルがよく使用され、時系列データの傾向や季節変動を捉えることができます。
モデルを選定したら、データを学習させ、将来の売上を予測します。このとき、トレーニングデータを用いてモデルのパラメータを最適化し、予測の精度を高めます。予測結果は、売上のピークや低迷時期を事前に把握するのに役立ち、在庫管理やリソース配分の計画に反映させます。
最後に、予測結果を基にして営業戦略を策定します。たとえば、予測された売上のピーク時に合わせてマーケティングキャンペーンを実施し、売上を最大化するための対策を講じます。これにより、企業はより効果的なビジネス戦略を実行し、市場競争力を向上させることができます。
以下に売上予測を実行するためのサンプルデータを準備しました。このデータは、各取引に関する情報を含んでおり、「日付」、「商品カテゴリ」、「販売数量」、「単価」、「売上金額」の各列を含んでいます。

これらの情報を基に、ChatGPTを用いて売上予測を実行します。
以下に、売上予測の実行例を示します。
プロンプト例:
添付したデータを基に時系列予測モデル(例:移動平均法やARIMA)を使って売上を予測し、トレンドや季節性を分析してください。結果を基に、営業のリソース配分やキャンペーンの最適なタイミングを提案し、売上最大化への具体的な戦略を示してください。分析はすべてChatGPT上で完結させてください。
ChatGPTからの回答例:
データに基づいて、以下の点が確認されました:
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売上の平均: おおよそ54,933円。
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売上の変動幅: 最大135,000円、最小9,800円と大きな幅があります。四分位範囲を見ると、売上の25%は17,495円以下、75%は90,500円以上となっています。
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売上の時系列変動: 売上は大きく変動しており、ピークと谷が確認できます。
図3:売上のトレンド

次に、売上における季節性やトレンドを明らかにするため、季節分解と時系列予測を行います。
図4:季節分解の結果

季節分解の結果は以下の通りです:
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トレンド: 長期的な売上の増減を示していますが、はっきりした上昇や下降傾向があるわけではありません。
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季節性: 7日ごとの繰り返しパターンが確認されました。これは曜日に依存した売上変動があることを示唆しています。
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残差: トレンドと季節性を除いた後のランダムな変動部分です。一部大きな変動があるため、特定のイベントや外的要因が影響している可能性があります。
次に、このデータに基づきARIMAモデルを用いて、今後30日間の売上予測を行います。
図5:今後30日間の売上予測

30日間の売上予測結果が示されました。次の点を基に戦略的提案を行います。
予測の重要なポイント:
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売上の変動: 売上予測には日ごとに変動があり、4月2日や4月4日などに売上のピークが予想されています。このタイミングに営業活動を強化すると効果的です。
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安定期: 4月半ば以降は比較的安定した売上が見込まれています。リソースを効率的に配分し、コスト管理を徹底する時期となります。
戦略提案:
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リソース配分: 予測で売上が高くなる日(例:4月2日や4月4日)にリソースを集中投入し、販売機会を最大化します。
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キャンペーンのタイミング: 売上ピークが予想される日には特別なキャンペーンやプロモーションを実施し、さらなる売上増加を狙います。
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リソースの柔軟な調整: 安定期には人的リソースや広告予算を抑えることで、効率的な経営を図ることができます。
これらの施策により、売上の最大化とリソースの最適化が期待できます。
この記事の著者

データサイエンティスト
市川 太祐
医師・医学博士。名古屋市立大学客員准教授。データサイエンティスト。データを用いた意思決定に長年取り組む。予防医療から電子カルテデータ、ライフログデータまで幅広い分析経験を持つ。「R言語徹底解説」(共立出版)、「データ分析プロジェクトの手引き」 (共立出版)等、データ分析関連の著書・訳書多数。
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